建設業許可の要件|財産的基礎の要件をわかりやすく解説!

申請をしようと考えている人

財産的基礎の要件って何だろう…

建設業の許可を取得するときに必要になるのは知っているけど、実際どういうもので、どんな書類を用意すれば良いのか分からない…

行政書士
西野

財産的基礎の要件は、建設業許可の要件の一つです。
また、許可申請だけでなく、他の申請や届け出にも関連するため重要です。

経営業務の管理責任者や専任技術者の要件よりわかりやすいですが、それでも細かいルールが定められていますので、このコラムで詳細を確認しておきましょう!

財産的基礎の要件とは?

財産的基礎の要件の意義と目的

建設業法における財産的基礎の要件とは、建設業許可を受けるための重要な条件の一つで、建設業者が建設工事の契約を適切に履行するために必要な財政的な安定性と信用を有しているかを確認するために設けられています

この要件の主な目的は、建設業者が工事を途中で放棄したり、下請け業者への支払いを怠ったりするリスクを低減することにあります

これにより、建設業の信頼性を高め、消費者や他の建設業者などとの間での信頼関係を築くことが目指しています。

財産的基礎の要件を満たすことで、建設業者は財務的な健全性があるとみなされ、公共の利益を守るとともに、業界全体の品質を保持する助けとなります。

【根拠法令】一般建設業

第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

 四 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと

建設業法7条4号

【根拠法令】特定建設業

第十五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

 三 発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること

建設業法15条3号

建設業法における財産的基礎の具体的な要件

建設業法における財産的基礎の要件は、建設業者が一定額の資本金または資本の積立金を有していることを要求しています。

具体的な基準は、以下のように定められており、一般建設業と特定建設業で要件が異なります

一般建設業における財産的基礎

一般建設業であれば、以下の①~③のいずれかを満たせば、財産的基礎を有すると判断されることになります。

自己資本の額が500万円以上あること

500万円以上の資金調達能力があること

直近5年間許可を受けて継続して営業した実績があること

【注意事項】

※1:「自己資本」とは、財務諸表のうち貸借対照表(B/S)の「純資産の合計」のことです。
新設企業第一期確定申告前であれば、創業時における貸借対照表(開始貸借対照表)で問題ありません。

※2:「資金調達能力」に関しては、取扱金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書で証明することになります。
ただし、預金残高証明書は申請書受付時点において、残高日より4週間以内のもの(残高日を含む)しか受け付けてもらえません。

※3:複数の金融機関の残高証明書を合算する場合は、残高の日付を統一する必要があります。

一般建設業の場合、個人であろうが法人であろうが、上記①~③のいずれかを満たせば、財産的基礎を有すると判断してもらえます。

特定建設業における財産的基礎

続いて特定建設業の財産的基礎についてです。

特定建設業の財産的基礎は以下の①~④のすべてを満たす必要があるので注意が必要です。

また、法人と個人で異なる点もあるので気を付けましょう。

欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと

流動比率が75%以上であること

資本金の額が2,000万円以上あること

自己資本の額が4,000万円以上あること

【注意事項】

※1:欠損の額について(法人と個人で異なります
[法人]
(欠損の額)=(マイナスの繰越利益剰余金)-(資本剰余金)-(利益準備金)-(繰越利益剰余金以外の利益剰余金)で算出できます。この額が資本金の20%を超えていないことが求められています

[個人]
(欠損の額)=(事業主損失)-(事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額)-(利益留保性の引当金)-(準備金)で算出できます。この額が資本金の20%を超えていないことが求められています

※2:流動比率について(法人と個人で共通です
右の計算式を満たす必要があります。(流動資産÷流動負債)×100≧75%

※3:資本金の額について(法人と個人で共通です
右の計算式を満たす必要があります。(期首資本金)≧2,000万円
資本金の額については基準を満たしていない場合でも、申請日までに増資などを行い、基準を満たした場合は、基準を満たしたものとして取り扱われます。これは、商業登記簿謄本で確認されます。

※4:自己資本について(法人と個人で共通です
右の計算式を満たす必要があります。(純資産の合計額)≧4,000万円
増資などを行う場合であっても、自己資本に関しては、直前決算時点で基準を満たしていなければなりません。

また、特定建設業の財産的基礎については、新規の申請時だけ要件を満たしていれば良いというものではなく更新の申請時にも要件を満たしている必要があるので注意が必要です。

更新の申請時に財産的要件を満たさない場合は、改めて一般建設業の新規申請を行わなければなりません

確認書類

財産的基礎を満たしていことを証明するために確認書類が必要となります。

確認書類は、一般建設業と特定建設業でそれぞれ異なります。

また、一般建設業でも申請ケースによって用意する書類が違いますので、ここでしっかり確認しておきましょう。

一般建設業の場合

一般建設業の場合、申請ケースは次の2つです
※要件の③は除いています。というのも、③に該当する場合、書類を用意する必要がないからです。

貸借対照表(B/S)における純資産の合計額が500万円以上あるケース
 [必要書類]確定申告書の控え(税務署の受付印のあるもの)の写し

上記以外のケース
 [必要書類]取扱金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書

財務諸表や預金残高証明書に関する注意事項は前述の通りですので、注意しておきましょう。

特定建設業の場合

特定建設業の場合、申請ケースは1つしかありません。

次の書類をいずれも用意する必要があります。

確定申告書の控え(税務署の受付印があるもの)の写し

貸借対照表(B/S)

※貸借対照表(B/S)は、特定建設業における財産的基礎の【注意事項】で解説した通り、満たしていなければならない条件があるので、気を付けるようにしてください。

財産的基礎の要件に関するまとめ

本コラムでは、建設業法における財産的基礎の要件について、詳細に解説しました。

財産的基礎の要件は、建設業許可やその他の建設業に関する申請において重要な要件となりますが、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件と比べるとわかりやすく、要件を満たしているか否か判断しやすいと思います。

簿記の知識がなくとも、用語を検索すれば理解できるので、前述の注意事項についても調べることができると思います。

建設業に関する申請の手続きに自身のない方は、専門の行政書士に相談されるのが良いでしょう。

にしの行政書士事務所からのご案内

新規建設業許可申請代行 120,000円(税込み)で承ります。
※上記金額とは別に、自治体に納付する申請手数料90,000円が必要となります。

申請してから許可証が送付されるまで30日~45日程度かかります。

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行政書士
西野

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