建設業の業種|屋根工事業とは?内容と許可取得の要件を解説!
屋根工事の重要性と許可取得のメリット
屋根工事は、建物の耐久性や安全性を維持するために欠かせない重要な工事です。
しかし、適切な許可を取得せずに工事を行うと、法的なトラブルや罰則のリスクがあります。
建設業許可を取得することで、信頼性の高い業者として認められ、顧客からの信頼も向上します。
建設業許可の取得は、事業の成長とリスク回避のカギとなります。
屋根工事の重要性と需要の増加
屋根工事は建物の保護や、近年エネルギー効率の向上において極めて重要な役割を果たしています。
特に、昨今の気候変動により発生する豪雨や台風の頻度が増加しているため、屋根のメンテナンスや修繕の需要が高まっています。
適切な屋根工事により、建物の寿命を延ばし、断熱性能を向上させることができます。
その結果、エネルギーコストを削減する効果も期待されています。
また、新築住宅の増加やリフォーム市場の拡大により、屋根工事の需要は年々増加し続けています。
特に、環境に配慮したエコロジカルな材料や技術の導入が盛んで、屋根工事の市場はさらに拡大・多様化しています。
これに伴い、専門知識を持つ技術者の需要も増加しており、質の高い施工が求められているというのが屋根工事の実情です。
屋根工事の許可を取得する理由とメリット
建設業法に基づき、請負金額が500万円以上の屋根工事を行う場合は、許可が必要となります。
この許可は、適切な施工能力と経営基盤を持つ業者であることを証明するものであり、許可を取得することで信頼性の向上につながります。
また、許可取得後、経営事項審査を経て、公共工事への参入が可能になり、受注機会が広がるという大きなメリットがあります。
許可取得のためには、経営業務の管理責任者の存在、適切な社会保険への加入、専任技術者の配置、財産的基礎の確立などの様々な要件を満たす必要があります。
建設業の許可要件の基本部分は、業種を問わず、共通している項目が多いので、気になる方は下のコラムをご覧ください。
詳細はこちらの画像をタップorクリック
左のコラムでは、建設業許可を取得するための基本要件を解説しています。
自己の会社やお店が、建設業許可を取得することができるのか、判断にお困りの場合は、是非ご覧になってください。
また、建設業許可の要件は全国共通ですが、必要書類・添付書類の内容は都道府県により異なることが多いので、必ず各都道府県が公開している「建設業許可の手引き」をご覧になってください。
先述の通り、建設業許可の要件を満たすことで、建設業者としての信用力が向上し、長期的な経営を実現することができます。
特に、建設業許可を取得することで500万円以上の工事の施工が可能となり、業務範囲が広がり、より大規模なプロジェクトに参加できるようになるため、事業拡大の可能性が大きく広がります。
以上のように、屋根工事の重要性と需要の増加を背景に、適切な許可を取得して業務を展開することは、企業の成長と信頼性向上に不可欠と言えるでしょう。
屋根工事業とは
屋根工事の定義
建設業法によれば、「屋根工事」とは以下の工事を指します。
屋根工事業とは「建物の屋根部分に瓦、スレート、金属薄板などの材料を使用して屋根をふく工事」のことを指します。
「屋根をふく工事」であれば、屋根工事に該当するので、材料の種類は問いません。
従って、屋根をふくのであれば、材料が瓦、ストレート、金属薄板等でなくとも屋根工事ということになります。
他にも屋根の断熱を目的とした工事であれば、「断熱素材を用いて屋根をふく工事」だと考えることができるので、屋根工事に該当します。
注意すべき工事は、昨今話題のソーラーパネルの取り付け工事でしょうか。
ソーラーパネルの取り付け工事は注意が必要です。
というのも、工事の内容次第で屋根工事に該当する場合と、電気工事に該当する場合があるからです。
屋根と一体型になっているソーラーパネルであれば、それ自体が屋根の材料となっていると考えられるので、屋根工事にあたります。
他方で、ソーラーパネルを屋根の上に新たに取り付ける場合、ソーラーパネルが屋根の材料ではなく、屋根をふくこともないので、屋根工事にはあたりません。
この場合は電気工事に該当します。
屋根工事は「屋根をふいているか否か」が重要です。
ソーラーパネルの取り付け工事は、屋根工事に該当しないこともあるので気を付ける必要があります。
主な作業内容と範囲
この項目では、屋根工事の具体的な内容と役割について見ていきましょう。
①屋根材の選定と設置
- 建物の種類やデザインに応じて、最適な屋根材を選定します。瓦、スレート、金属薄板などの素材は、それぞれ異なる特性を持っており、耐久性や美観、コストなどの観点から選択されます。選定された材料を用いて、屋根の下地に適切に固定します。
②防水処理
- 屋根の防水性を確保するため、防水シートの設置やコーキングなどの処理を行います。これにより、雨水の侵入を防ぎ、建物内部の損傷を防止します。
③断熱・遮熱工事
- 屋根に断熱材や遮熱材を取り付けることで、室内の温度調節を助けます。これにより、エネルギー効率が向上し、冷暖房費の削減にもつながります。
④補修・メンテナンス
- 経年劣化や自然災害による損傷を受けた屋根の修繕やメンテナンスも重要な業務です。これには、瓦の交換、金属部分の錆び取り、防水処理の再施工などが含まれます。
⑤美観の向上
- 屋根材のデザインや色合いを選定することで、建物全体の外観美を向上させます。特に瓦やスレートはデザインの多様性があり、建物のスタイルに合わせた屋根を作成することができます。
屋根工事業は、これらの作業を通じて、建物の寿命を延ばし、快適な室内環境を提供することに貢献しています。
正確な施工と定期的なメンテナンスが、建物の価値を保つために欠かせません。
このような専門性を持つ屋根工事業者が提供するサービスは、住まいの安全と安心を支える重要な要素です。
屋根工事業の許可要件
ここでは、屋根工事の許可を取得するための要件を確認していきましょう。
専任技術者の要件
専任技術者は、各営業所に配置される技術者で、施工の適正を確保するために必要です。
一般建設業の許可を取得するためには、次のいずれかに該当する者を専任技術者として配置しなければなりません。
〇所定学科卒業者等
- 高等学校または中等教育学校を卒業後、5年以上の実務経験を有する者。
- 専門学校や大学を卒業後、3年の実務経験を有する者。
〇実務経験者
- 屋根工事の実務経験を10年持つ者。
〇資格免許所有者
- 一級または二級の施工管理技士、または同等の資格を持つ者。
所定学科卒業等について
実務経験の他に一定の学歴があれば、10年の実務経験を5年または3年に短縮することが可能です。
学歴として、主に「高校卒業」、「大学卒業」、「専門学校卒業」が想定されています。
以下に表としてまとめておきますので参照してみてください。
卒業した学校 | 学 科 等 | 短 縮 年 数 |
高校卒業 | 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地または造園に関する学科を含む) または建築学に関する学科 | 10年→5年 |
大学卒業 | 〃 | 10年→3年 |
専門学校卒業 (高度専門士・専門士) | 〃 | 10年→3年 |
専門学校卒業 (上記以外) | 〃 | 10年→5年 |
資格免許所有者について
以下の資格者等がいれば、屋根工事業の許可を取得することができます。
資格者等一覧
[技術検定・合格証明書]
- 一級土木施工管理技士(合格後、実務経験が3年必要)
- 一級土木施工管理技士補(合格後、実務経験が3年必要)
- 二級土木施工管理技士【種別:土木/鋼構造物塗装/薬液注入】(合格後、実務経験が5年必要)
- 二級土木施工管理技士補【種別:土木/鋼構造物塗装/薬液注入】(合格後、実務経験が5年必要)
- 一級建築施工管理技士(※)
- 一級建築施工管理技士補(合格後、実務経験が3年必要)
- 二級建築施工管理技士【種別:建築/躯体】(合格後、実務経験が5年必要)
- 二級建築施工管理技士【種別:仕上げ】
- 二級建築施工管理技士補(合格後、実務経験が5年必要)
- 一級造園施工管理技士(合格後、実務経験が3年必要)
- 一級造園施工管理技士補(合格後、実務経験が3年必要)
- 二級造園施工管理技士(合格後、実務経験が5年必要)
- 二級造園施工管理技士補(合格後、実務経験が5年必要)
[建築士試験・免許証]
- 一級建築士(※)
- 二級建築士
[技能検定・合格証]
- 建築板金【選択科目「ダクト板金作業」】
- 板金【選択科目「建築板金作業」】/建築板金【選択科目「内外装板金作業」】/板金工【選択科目「建築板金作業」】
- かわらぶき・ストレート施工
[補足]
・(※)の資格を有していれば、特定建設業の専任技術者になることもできます。
経営業務管理責任者の要件
経営業務管理責任者は、建設業の経営を適切に管理するために必要な能力を有する者です。次のいずれかに該当することが求められます。
◆5年以上の経営業務管理責任者の経験
個人事業主として、または建設会社の役員等として5年以上、建設業を経営した経験があるということが基本となります。
他にも経営業務の管理責任者の要件を満たす場合があるので、下のコラムを確認してみてください。
左のコラムでは、経営業務の管理責任者の要件について詳細に解説しています。
経営業務の管理責任者についてもっと詳しく知りたいという方は是非ご覧になってください。
屋根工事業まとめ
屋根工事業において許可を取得することは、事業の拡大と成功に直結する重要な要素です。
許可を取得することで、業者としての信頼性が高まり、顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。
また、許可を持つことにより、公共工事への参入や大規模なプロジェクトの受注が可能となり、事業拡大のチャンスが広がります。
許可取得には、専任技術者や経営業務管理責任者の配置、社会保険への加入、財産的基礎の確保、誠実性の証明など、多くの要件を満たす必要があります。
これらの要件をクリアすることは、企業としての健全性と持続可能な成長を支える基盤となります。
特に、適切な技術者の確保と経営管理の能力は、施工の品質と安全性を保証するために不可欠です。
専門家のサポートを受けることで安心・確実な許可取得
許可取得のプロセスは複雑で、法的な要件や必要書類の準備には専門知識が求められます。
申請を自分で行うことが難しい、本業に集中したいときは、建設業専門の行政書士のサポートを受けることをおすすめ致します。
専門家は許可取得に必要な手続き全般をサポートし、書類作成や申請手続きの代行を行います。
これにより、申請ミスを防ぎ、スムーズな許可取得が可能となります。