建設業の業種|大工工事業とは?詳細について解説!
大工工事って具体的にどんな工事が含まれるんだろう?
何となくのイメージはあるけれど、具体的な工事や許可取得のために必要なことが分からない…
一口に『大工工事』といっても、内容は様々です。
このコラムでは、大工工事業の定義を確認し、具体的な工事名を挙げて解説していきます。
また、大工工事業の許可取得のために必要な要件も確認していきますので、是非最後までご覧ください。
大工工事業とは?
大工工事
型枠工事
造作工事
大工工事業とは、「木材の加工または取付けにより工作物を築造し、または工作物に木製設備を付け加える工事」のことです。
基本的には木工事として扱われるものは、大工工事業に分類されると考えて良いでしょう。
また、大工工事には「大工工事」、「型枠工事」、「造作工事」の3種類が含まれます。
大工工事の種類
- 「大工工事」とは、支柱や外壁などの構造部分を作る工事のことを指します。
- 「型枠工事」とは、コンクリートを流し込むための木製の枠を作る工事のことです。
- 「造作工事」とは、建物内部の仕上げ工事のことで、床板・天井・建具・棚などを取り付ける工事のことを指します。
「型枠工事」は、ベニヤ板などで基礎の型を組んで、そこにコンクリートを流し込むことでコンクリート基礎を作る工事なので、とび土工工事業ともかなり密接です。
このことから、過去の実務経験を示すための証拠書類として注文書や契約書などを提示する場合に、工事内容の欄に基礎工事とだけ記載されている場合は、とび土工工事業だと判断されてしまう可能性がありますので注意が必要です。
また、「大工工事」は「内装仕上工事」とも密接に関連しています。
例えば、リフォーム工事を請け負った場合、内装仕上工事として請け負ったとしても、柱や壁工事が含まれていることもあるので、大工工事に該当することもあります。
工事の具体的な内容に応じて、分類される業種が異なるので注意が必要です。
大工工事業の許可取得のための要件
建設業の許可を取得するためには、前提として「経営業務の管理責任者」の要件を満たしていることが必要です。
「経営業務の管理責任者」については左のコラムで詳細を解説していますので、詳しく知りたい方は是非ご覧になってください。
ここでは、大工工事業の専任技術者についてみていきましょう。
許可取得のために持っておきたい資格
「経営業務の管理責任者」の要件をクリアしている場合、以下の資格者がいれば、大工工事業の許可を取得することができます。
資格者等一覧
[技術検定]
- 一級建築施工管理技士(※)
- 一級建築施工管理技士補(合格後、実務経験が3年必要)
- 二級建築施工管理技士【種別:建築】(合格後、実務経験が5年必要)
- 二級建築施工管理技士【種別:躯体、仕上げ】
- 二級建築施工管理技士補(合格後、実務経験が5年必要)
[建築士試験]
- 一級建築士(※)
- 二級建築士
- 木造建築士
[技能検定]
- 建築大工(2級の場合は、実務経験が3年必要)
- 型枠施工(2級の場合は、実務経験が3年必要)
[補足]
・(※)の資格を有していれば、特定建設業の専任技術者になることもできます。
・二級建築施工管理技士の合格証に何も書かれていなければ、「建築」の合格証です。
「躯体」と「仕上げ」の場合、カッコ書きで合格証に明記されています。
許可取得のための資格がない場合
こちらも「経営業務の管理責任者の要件」を満たしていることが前提となりますが、資格者がいなくても専任技術者になることができます。
基本的に2パターンのなり方があるので、確認しておきましょう。
実務経験のみの場合
実務経験のみで専任技術者になろうとする場合、実務経験が10年必要です。
この10年の実務経験は、大工工事業の実務経験でなければならないので注意が必要です。
こちらのコラムでは専任技術者について詳しく解説しています。
専任技術者についての詳細な情報が知りたい方は、合わせてご覧ください。
実務経験と学歴の場合
実務経験の他に一定の学歴があれば、10年の実務経験を5年または3年に短縮することが可能です。
学歴として、主に「高校卒業」、「大学卒業」、「専門学校卒業」が想定されています。
以下に表としてまとめておきますので参照してみてください。
卒業した学校 | 学 科 等 | 短 縮 年 数 |
高校卒業 | 建築学または都市工学に関する学科 | 10年→5年 |
大学卒業 | 〃 | 10年→3年 |
専門学校卒業 (高度専門士・専門士) | 〃 | 10年→3年 |
専門学校卒業 (上記以外) | 〃 | 10年→5年 |
専門学校を卒業されている方で、高度専門士または専門士の称号をお持ちの方は、大学卒業と同じ扱いとなります。
称号をお持ちでない方で、専門学校を修了された方は、高校卒業と同じ扱いとなります。
大工工事業の許可所得に関するQ&A
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実務経験を証明する場合に必要な書類は何ですか
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実務経験を証明するための疎明資料として、一例ですが以下のようなものが挙げられます。
・実務経験証明書に記載した工事に係る請負契約書
・発注者からの注文書
・発注者証明書
申請する自治体によって異なるので、必ず「手引き」を確認するようにしてください。
自治体によっては、請負契約書や注文書がない場合、請求書の控えとそれに対応する入金額が分かる通帳の写しを求められることもあります。
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大工工事に付随して他の工事を請け負ったのですが、法律上問題がありますか
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大工工事に付随して他の工事を請け負うことは、建設業法上何ら問題ありません。
ただし、複数の工事が含まれた工事では、金額の割合に応じて中心となる工事が判断されるので注意が必要です。
例えば、大工工事(工事金額350万円)に付随して、内装工事(工事金額200万円)と管工事(工事金額50万円)を請け負ったとします(合計金額600万円)。
この場合、金額からして大工工事の金額の割合が一番大きいので、大工工事が中心の工事と判断されます。そして、上の例の場合、「600万円の大工工事を請け負った」と考えて問題ありません。
つまり、複数の工事が含まれる工事(2以上の業種)において、中心となる工事(1業種)だけの工事と考えても良いということです。補足ですが、上記の例では、結果として500万を超えることになるので、「大工工事」の建設業許可(中心となる工事の許可)が必要になります。