建設業の業種|土木工事業(土木一式)とは?詳細について解説!
土木工事業(土木一式)って具体的にどんな工事が含まれるんだろう?
土木に関係する工事なら、何でもできるのかな?
許可取得のための要件もよくわからないな…
よくある勘違いなのですが、土木工事業(土木一式)の許可を所得しているからといって、土木に関係する工事がなんでも受けられるとは限りません。
このコラムでは、土木事業についての詳細を許可取得の要件とともに詳細に解説していきますので、是非最後までご覧ください。
土木工事業とは?
橋梁工事
土木工事業とは、「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造または解体する工事を含む)のこと」を意味しています。
もう少しかみ砕いて説明すると、「元請けとして道路、トンネル、橋梁などの土木工作物をさまざまな下請け専門工事業者を使って完成させていく工事」ということになります。
「総合的な企画、指導、調整」をもとに工事にあたるので、建設工事の種類としては「土木一式工事」と呼びます。
工事の具体例
具体的な工事名を挙げると、次のようなものがあります。
- 道路工事
- 港湾・空港の工事
- 土地の造成・埋立て工事
- 橋梁工事
- 堤防法面の補強工事
- トンネル工事
- コンクリートダム工事 など
【注意】
※1:「プレストコンクリート工事」のうち、橋梁等の土木工作物を総合的に建設するプレストレストコンクリート構造物工事は「土木一式工事」に該当します。
※2:公道下等の下水道の配管工事および下水処理場自体の敷地造成工事は「土木一式工事」に該当します。
道路工事
トンネル工事
ダム工事
土木工事業は、建築工事業とともに、「総合工事業」とも呼ばれており、他の27業種の専門工事業とは区別されているので注意が必要です。
「専門工事業」ではないので、土木工事業(土木一式)の許可を持っているからといって、土木系の仕事が全部できるという訳ではありません。
例えば、「(道路の)舗装だけの工事を、税込み500万円を超える金額で請け負った」とします。
この場合、「舗装だけ」なので、先ほど見た土木工事業の説明にある「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事」に当たらないことになります。
したがって、具体例に挙げたような工事を請け負う場合、別に舗装工事業の許可を取得する必要があります。
また、土木工事業は、建築工事業(建築一式)のように上限額について別の基準があるわけではありません。
よって、多くの建設業者が関わるという性質上、許可が不要の上限である500万円という基準は超えてしまうことが多いです。
許可の要否に関わる500万円という基準は、なかなか厳しいということになります。
土木工事業の許可取得のための要件
建設業の許可を取得するためには、前提として「経営業務の管理責任者」の要件を満たしていることが必要です。
「経営業務の管理責任者」については左のコラムで詳細を解説していますので、詳しく知りたい方は是非ご覧になってください。
ここでは、土木工事業の専任技術者についてみていきましょう。
許可取得のために持っておきたい資格
「経営業務の管理責任者」の要件をクリアしている場合、以下の資格者がいれば、土木工事業の許可を取得することができます。
資格者一覧
[技術検定]
- 一級建設機械施工管理技士(※)
- 二級建設機械施工管理技士
- 一級土木施工管理技士(※)
- 二級土木施工管理技士【種別:土木】
[技術士試験]
- 建設・総合技術監理【建設】(※)
- 建設『鋼構造及びコンクリート』・総合技術監理【建設『鋼構造及びコンクリート』】(※)
- 農業『農業農村土木』・総合技術監理【農業農村土木】(※)
- 水産『水産土木』・総合技術監理【水産『水産土木』】(※)
- 森林『森林土木』・総合技術監理【森林『森林土木』】(※)
[補足]
・(※)の資格を有していれば、特定建設業の専任技術者になることもできます。
・二級土木施工管理技士についてですが、種別が「土木」、「鋼構造物塗装」、「薬液注入」の三種に分かれています。
これらのうち、土木工事業の専任技術者になれるのは「土木」のみです。
また、二級土木施工管理技士の合格証に何も書かれていなければ、「土木」の合格証です。
「鋼構造物塗装」と「薬液注入」の場合、カッコ書きで合格証に明記されています。
許可取得のための資格がない場合
こちらも「経営業務の管理責任者の要件」を満たしていることが前提となりますが、資格者がいなくても専任技術者になることができます。
基本的に2パターンのなり方があるので、確認しておきましょう。
実務経験のみの場合
実務経験のみで専任技術者になろうとする場合、実務経験が10年必要です。
この10年の実務経験は、土木工事業の実務経験でなければならないので注意が必要です。
こちらのコラムでは専任技術者について詳しく解説しています。
専任技術者についての詳細な情報が知りたい方は、合わせてご覧ください。
実務経験と学歴の場合
実務経験の他に一定の学歴があれば、10年の実務経験を5年または3年に短縮することが可能です。
学歴として、主に「高校卒業」、「大学卒業」、「専門学校卒業」が想定されています。
以下に表としてまとめておきますので参照してみてください。
卒業した学校 | 学 科 等 | 短 縮 年 数 |
高校卒業 | 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地または造園に関する学科を含む) 都市工学、衛生工学または交通工学 | 10年→5年 |
大学卒業 | 〃 | 10年→3年 |
専門学校卒業 (高度専門士・専門士) | 〃 | 10年→3年 |
専門学校卒業 (上記以外) | 〃 | 10年→5年 |
専門学校を卒業されている方で、高度専門士または専門士の称号をお持ちの方は、大学卒業と同じ扱いとなります。
称号をお持ちでない方で、専門学校を修了された方は、高校卒業と同じ扱いとなります。
土木工事業の許可所得に関するQ&A
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実務経験を証明する場合に必要な書類は何ですか
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実務経験を証明するための疎明資料として、以下のようなものが挙げられます。
・実務経験証明書に記載した工事に係る請負契約書
・発注者からの注文書
・発注者証明書
申請する自治体によって異なるので、必ず「手引き」を確認するようにしてください。
自治体によっては、請負契約書や注文書がない場合、請求書の控えとそれに対応する入金額が分かる通帳の写しを求められることもあります。
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土木事業(土木一式)の許可があれば、他の土木に関連する工事が全部やれるのですか
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本コラムにてご説明しましたが、土木工事業(土木一式工事)というのは「土木工作物をまるごと(一式)建設する工事で、そのために色々な専門工事業の業者を使う」ことを指します。
従いまして、例えば掘削工事だけを500万円を超える金額で請け負うということであれば、別途その工事に対応した許可(掘削工事の場合、とび土木工事業の許可)を取得する必要があります。